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大阪地方裁判所 昭和46年(ワ)6262号 判決 1977年1月28日

原告

大和興業株式会社

ほか二名

被告

彦素孝平

ほか二名

主文

一  被告山田、同彦素は各自、原告会社に対し金六六万七一七〇円およびこれに対する昭和四七年一月一三日から支払ずみまで年五分の割合による金員、原告斎吉に対し金七九万二〇七八円およびこれに対する前同日から支払ずみまで前同割合による金員、原告仁子に対し金二四万七一二〇円およびこれに対する前同日から支払ずみまで前同割合による金員を支払え。

二  原告らの右被告らに対するその余の請求、被告小東に対する請求を棄却する。

三  訴訟費用は原告らと被告小東との間においては原告らの負担とし、原告らと被告山田、同彦素の間においてはこれを三分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。

四  この判決は一項にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告ら

1  被告らは各自原告大和興業株式会社に対し金八三万七五二〇円およびこれに対する昭和四七年一月一三日(但し、被告小東は同年四月五日、以下同じ)から支払ずみまで年五分の割合による金員、原告後藤斎吉に対し金一三七万二二七八円およびこれに対する前同日から支払ずみまで前同割合による金員、原告後藤仁子に対し金六二万七三二〇円およびこれに対する前同日から支払ずみまで前同割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言

二  被告ら

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二請求原因

一  事故の発生

次の交通事故により、原告後藤斎吉および同後藤仁子は傷害を、同大和興業株式会社(以下原告会社という)は物損を被つた。

1  日時 昭和四四年一〇月一日午後一〇時一五分ころ

2  場所 加古川市野口町野口六三番地の一

3  加害車 貨物自動車(石川一せ四三―三三号)

運転者 被告彦素

4  被害車 貨物自動車(大阪四一せ五〇号)

運転者 原告後藤斎吉

同乗者 原告後藤仁子

5  態様 被害車が信号待ちのため停止中、加害車が追突し、被害車はさらにその前車に追突した。

二  責任原因

被告小東は運送業を営むところ、被告山田にその下請をさせ、事故当時同被告所有の加害車につき運行支配を有していたもの、被告山田はその所有の加害車を用い運送業を営んでいたもの、被告彦素は被告山田の従業員にして同被告の業務の執行として加害車を運転中重大なる過失により本件事故を発生させたものであるところ、被告小東は原告らに対し昭和四四年一〇月三、四日頃、本件事故による原告らの一切の損害を被告山田、同彦素と連帯して賠償する旨を約し、被告山田、同彦素は同四五年五月二七日頃、原告会社に対し原告会社の後記損害のうち金七四万七五二〇円を支払う旨、又、右被告両名は同四六年四、五月頃、原告斎吉および同仁子に対し、同原告らの後記損害に対し合計金二〇〇万円を支払う旨約したものである。

三  損害

1  傷害、治療経過等

(一) 原告斎吉

原告斎吉は本件事故により外傷性頸部症候群、腰痛の傷害を受け、昭和四四年一〇月二日から四七日間入院し、退院後も昭和四五年三月二四日までの間に四六回通院して治療を受けた。

(二) 原告仁子

原告仁子は本件事故により外傷性頸部症候群、腰部打撲傷の傷害を受け、昭和四四年一〇月二日から二二日間入院し、退院後も昭和四五年一月三一日までの間に四一回通院して治療を受け、なお事故当時原告仁子は妊娠中であつたところ、右治療中に胎児に危険が生じたため胎児早産手術をした。

2  損害額

(一) 原告斎吉関係

(1) 入院料 金一一万二八〇〇円

(2) 診療費 金三一万四七八六円

(3) 入院雑費 金一万四一〇〇円

一日金三〇〇円の割合による四七日分

(4) 通院費 金四八〇〇円

一日金一〇〇円の割合による前記のとおり通院四六日分

(5) 休業損害 金四五万三三七八円

原告斎吉は、本件事故当時自動車運転手として稼働し、一年間に金一三四万五五八一円(日額金三六八六円)の収入を得ていたが、本件事故による傷害のため、昭和四四年一〇月一日から昭和四五年一月三一日までの一二三日間休業を余儀なくされ、その間一日金三六八六円の割合による一二三日分合計金四五万三三七八円の収入を失つた。

(6) 慰藉料 金九〇万円

(7) 弁護士費用 金一〇万円

(8) 損害の填補 金五二万七五八六円

自賠責保険から支払を受けた。

(二) 原告仁子関係

(1) 入院料・診治費 金一一万一五一七円

(2) 胎児手術費・雑費 金一万円

原告仁子は、前記のとおり胎児の早産手術をしたが、手術費として金七〇〇〇円、および雑費として金三〇〇〇円合計金一万円を要した。

(3) 入院雑費 金六六〇〇円

一日金三〇〇円の割合による二二日分

(4) 通院費 金四三〇〇円

一日金一〇〇円の割合による前記のとおり通院四一日分

(5) 休業損害 金五万七二四〇円

原告仁子は本件事故当時京都市交通局に勤務していたが、本件事故による傷害のため昭和四四年一〇月二日から同年一一月三〇日までの六〇日間休業を余儀なくされ、その間合計金五万七二四〇円の収入を失つた。

(6) 慰藉料 金六五万円

(7) 弁護士費用 金五万円

(8) 損害の填補 金二六万二三三七円

自賠責保険から支払を受けた。

(三) 原告会社

(1) 車両損害等 金七五万七八九〇円

原告会社は、本件事故により、その所有の被害車が破損して使用不能になつたため代替車の購入を余儀なくされ、また被害車に積載していた機械が放送用の特殊の機械であつたためその故障の有無を検査する必要が生じたため次のとおり合計金七五万七八九〇円の損害を受けた。

(イ) 代替車購入関係費 金六〇万七一七〇円

代替車購入費金五九万七八〇〇円、同車の自賠責保険料金二万五五〇円、同車の登録料金九一〇〇円、同車の取得税金一万三八九〇円、同車の自動車税金八三〇円合計金六四万二一七〇円を要したが、被害車が金三万五〇〇〇円で下取りされたので結局金六〇万七一七〇円の損害となる。

(ロ) 機械の検査費 金九万七四〇〇円

(ハ) 被害車引揚費 金五万三三二〇円

被害車を事故現場から引揚げるために要した。

(2) 弁護士費用 金九万円

四  結論

よつて、原告らは被告らに対し、第一記載のとおりの判決(遅延損害金は訴状送達の日の翌日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による。)を求める。

第三答弁

一  被告山田、同彦素

原告らとの間で、原告らは、被告山田が加害車につき加入していた東京海上火災保険株式会社の対物、対人任意保険から損害の填補を受けることとし、被告らに対しその余の請求は一切しない旨約している。又、本件事故後、被告山田は原告会社の不法行為により金四八万三〇〇〇円の損害を被つているので、これを対等額で相殺する約定であつた。

二  被告小東

請求原因一項は認める。

同二項中、同被告が運送業を営むことのみ認め、その余は争う。

同三項中、損害の填補のみ認め、その余は争う。

三  補助参加人

被告山田は原被告間に原告主張の如き示談が成立したとし(但し、右示談は保険者たる補助参加人の承認を得ずして成されたものであるから自動車保険普通保険約款により補助参加人を拘束しえない)、補助参加人に対し保険金請求をなし、補助参加人は原告会社の損害を金四一万五〇〇〇円、原告斎吉の損害を金五八万八五六一円、原告仁子の損害を金三万八〇〇〇円と査定し、うち原告会社の損害たる物損については、免責額二万円を除く金三九万五〇〇〇円を既に被告山田に支払ずみである。なお、原告らが本訴で主張する損害額は過大である。

理由

一  事故

請求原因一項は被告小東との間において争いなく、被告山田、同彦素はこれを明らかに争わないから自白したものとみなされる。

二  責任

証人田代の証言(一、二、三回)、原告斎吉、被告山田、同小東(一、二回)各本人尋問の結果、右田代の証言にて成立を認める甲七号証、一五号証の一、二によると次の事実が認められる。

被告山田は加害車を所有し、いわゆる白ナンバーで運送業を営み、被告彦素はその従業員で被告山田の業務の執行として加害車を運転中、前方不注意の過失により本件事故を発生せしめたものであるところ、

被告小東は被告山田の依頼により事故翌日原告会社に赴いてその従業員である田代正雄と本件事故による原告らの損害の賠償について交渉を開始、その席上で同被告は同訴外人に対し「原告らの損害の賠償については被告小東が責任を持つ」との発言をなし、又被告山田は資力に乏しく、その所在も明らかでなかつたこともあり、以来その交渉は主として田代と被告小東間で続けられていたが、昭和四五年五月頃、ようやく小松市の被告小東宅で田代、被告小東、同山田、同彦素が席を同じくする機会をもち、その席上で原告らは、被告山田が加害車につき加入契約していた東京海上火災保険株式会社との任意保険(対人一〇〇〇万円、対物一〇〇万円)から、田代が請求の諸手続をなし保険金の支払を受けることに話がつき、その手続に必要な示談書を作成することになつた。席上、田代は被告らに対し、原告斎吉、同仁子の損害金として二〇〇万円を一応提示していたが、その具体的数額はそれ以上明らかにせず、又、原告会社の損害については金額を明示せず、後日その詳細を連絡するとの了解の下に、書面に被告山田、同彦素の捺印を貰い、田代は帰阪ののち示談金額等の和解条項を記載した。

そして、田代は同四五年七月二五日東京海上に右示談書を提出して保険金請求の手続をなしたところ、右示談書の損害額の記載に不備があるとのことにより、田代は保険会社係員の指導により新に示談書(甲七、一五号証の一)を作成のうえ、その旨被告山田、同彦素に連絡し、所用で来阪した被告彦素および被告山田の弟から同書面の和解当事者欄に押捺して貰い、同年一二月二四日これを東京海上に提出した。

なお、その後田代は同四六年二月一七日、再度東京海上の指摘により原告斎吉、同仁子の損害の内訳明細書(甲一五号証の二)を提出した。保険金は原告会社の取引銀行に振込まれるべく予定されていたが、その後被告山田が翻意し、原告会社に支払われるべき保険金三九万五〇〇〇円は同四五年一二月二九日同被告が受取り、原告斎吉、同仁子に対するそれは、いまだ現実には支払われていない。

被告小東はかつて被告山田を運転手として雇傭していたこともあり、又、同被告が独立後は運送の下請をさせたこともあるが、事故当時、専属的に使用していた訳ではない。又、本件事故発生の際、加害車が被告小東の業務の下請として運行されていたとは認め難い(この点に関する証人田代の証言は転々し信用し難い)。

以上の事実に照すと、被告小東が前認定「責任を持つ」趣旨の発言をしたのは、責任を以つて紛争解決に当るとの意味であり、原告ら主張の如く原告らの損害について被告山田、同彦素と連帯して支払う旨の意思表示をなしたものとは認め難く、それ故、前記甲七、一五号証の一の当事者欄にも被告小東の署名押印を欠くものと解されるのである。

又、原告らと被告山田、同彦素間の示談契約は、成程前記甲七、一五号証の一が存在するが、これは前認定経緯に照すと、原告らが被告山田の任意保険から損害の填補を受けるための必要上作成したもので、真実、被告山田、同彦素において、同書面記載の金員を原告らに支払う旨の合意があつたものとは到底認め難いところである。

その他原告らの主張を認めるに足る証拠はない。

よつて、原告らの被告らに対する和解契約の存在を前提にした本訴請求は理由がない。

而して、原告らの本訴請求原因は被告小東に対する自賠法三条による運行供用責任、被告山田に対する民法七一五条による使用者責任、被告彦素に対する民法七〇九条による一般不法行為責任を追及する趣旨をも含むものと解すべきところ、前認定事実によると、被告小東に対する自賠法三条による請求は理由を欠くが、その余の被告らに対する民法七〇九条、七一五条による請求は正当である。

よつて、被告山田は民法七一五条により、被告彦素は民法七〇九条により本件事故による原告らの損害を賠償する責任がある。

なお、被告山田、同彦素は、原告らの損害の填補は専ら任意保険金によるとの約定があつた旨主張するところ、前認定のとおり、原告らはいまだ保険金の支払を受けていないのであるから、原告らの本訴請求を妨げるものではない。

三  損害

1  原告斎吉関係

(一)  傷害、治療経過等

原告斎吉本人尋問の結果およびそれにより真正に成立したものと認められる甲四号証の一、二によると、原告斎吉は、本件事故により、外傷性頸部症候群の傷害を受け、昭和四四年一〇月二日と翌三日山崎病院に通院し、同月四日から同年一一月一九日まで四七日間同病院に入院し、同月二〇日から昭和四五年三月二四日まで同病院に通院(通院回数は通じて四六回)して治療を受け、そのころ治癒したことが認められる。

(二)  損害額

(1) 治療費 金四二万七五八六円

前記甲四号証の二によると、原告斎吉は、前認定の入通院治療の費用として、原告主張のとおり(入院料、診療費)合計金四二万七五八六円を要したことが認められる。

(2) 入院雑費 金一万四一〇〇円

原告斎吉が前認定四七日間の入院中、入院に伴う雑費として、一日金三〇〇円の割合による四七日分合計金一万四一〇〇円を要したことは経験則上これを認めることができる。

(3) 通院費 金四六〇〇円

原告斎吉本人尋問の結果によると、原告斎吉は、前認定四六回の通院に伴う交通費として、少なくとも同原告主張のとおり一回に金一〇〇円の割合による四六回分合計金四六〇〇円を要したことが認められる。

(4) 休業損害 金四五万三三七八円

原告斎吉本人尋問の結果およびそれにより真正に成立したものと認められる甲六号証の一、二、ならびに弁論の全趣旨に前記認定の傷害の内容、治療の経過等を照し考えると、原告斎吉は、事故当時三二歳で、原告会社の自動車運転手として稼働し、一年間に金一三四万五五八一円(日額三、六八六円)の収入を得ていたが、本件事故による傷害のため、昭和四四年一〇月二日から昭和四五年二月一日までの一二三日間休業を余儀なくされ、その間一日三、六八六円の割合による一二三日分合計金四五万三三七八円の収入を失つたことが認められる。

(5) 慰藉料 金三五万円

前記三1(一)認定の傷害の部位・程度、治療の経過・期間、本件事故の態様、その他本件に現われた一切の事情を合せ考えると、原告斎吉の慰藉料額は金三五万円が相当と認められる。

(6) 損害の填補 金五二万七五八六円

原告斎吉が本件事故による損害賠償として自賠責保険から合計金五二万七五八六円の支払を受けたことは、同原告の自認するところである。

すると、被告山田、同彦素において支払わなければならない残損害額は、前記(1)ないし(5)の合計金一二四万九六六四円から右填補分金五二万七五八六円を差引いた金七二万二〇七八円となる。

2  原告仁子関係

(一)  傷害、治療経過等

原告斎吉本人尋問の結果およびそれにより真正に成立したものと認められる甲五号証の一、二、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲九、一〇号証、ならびに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。原告仁子は、本件事故により、外傷性頸部症候群、腰部打撲傷の傷害を受け、昭和四四年一〇月二日と翌三日山崎病院に通院し、同月四日から同月二五日まで二二日間同病院に入院し、同月二六日から昭和四五年一月三一日まで同病院に通院(通院回数は通じて四一回)して治療を受けそのころ治癒した。なお、原告仁子は事故当時妊娠中であつたが、それに気づかず本件事故による傷害の検査のためレントゲンをかけ、右レントゲン照射による胎児への悪影響が考えられたので、妊娠中絶をした。

(二)  損害額

(1) 治療関係費 金一二万一五一七円

前記甲五号証の二、九、一〇号証によると、原告仁子は、同原告主張のとおり、前認定の入院治療の費用として金一一万一五一七円、前認定の妊娠中絶の手術費用として金七〇〇〇円、その雑費として金三〇〇〇円合計金一二万一五一七円の治療関係費を要したことが認められる。

(2) 入院雑費 金六六〇〇円

原告仁子が前認定二二日間の入院中、入院に伴う雑費として、一日金三〇〇円の割合による二二日分合計金六六〇〇円を要したことは経験則上これを認めることができる。

(3) 通院費 金四一〇〇円

原告斎吉本人尋問の結果によると、原告仁子は、前認定四一回の通院に伴う交通費として、少なくとも同原告主張のとおり一回金一〇〇円の割合による四一回分合計金四一〇〇円を要したことが認められる。

(4) 休業損害 金五万七二四〇円

原告斎吉本人尋問の結果および弁論の全趣旨によると、原告仁子は、本件事故当時二七歳で、京都市交通局に勤務していたが、本件事故による傷害のため、昭和四四年一〇月二日から同年一一月三〇日までの六〇日間休業を余儀なくされ、その間同原告主張のとおりの収入を失つたことが認められる。

(5) 慰藉料 金三〇万円

前記三2(一)認定の傷害の部位・程度、治療の経過・期間、妊娠中絶の事実、本件事故の態様、その他本件に現われた一切の事実を合せ考えると、原告仁子の慰藉料額は金三〇万円が相当と認められる。

(6) 損害の填補 金二六万二三三七円

原告仁子が本件事故による損害賠償として自賠責保険から金二六万二三三七円の支払を受けたことは、同原告の自認するところである。

すると、被告山田、同彦素において支払わなければならない残損害額は、前記(1)ないし(5)の合計金四八万九四五七円から右填補分を差引いた金二二万七一二〇円となる。

3  原告会社

証人田代の証言(一、二回)ならびにこれにより成立を認める甲三号証の一ないし四によると、原告会社は本件事故により、その所有の被害車が大破したため、新車を購入しその費用として次の金員を要したことが認められる。

新車代金五九万七八〇〇円(但し、被害車下取代金三万五〇〇〇円)

自賠責保険料 金二万五五〇円

登録料 金九一〇〇円

自動車取得税 金一万三八九〇円

自動車税 金八三〇円

右認定を覆すに足る証拠はない。又、右のほか、原告会社主張の損害を認めるに足る証拠はない。

四  弁護士費用

本件事案の内容、審理経過、本訴請求額および認容額に照らすと、原告らが被告山田、同彦素に対し賠償を求め得る弁護士費用の額は、原告会社金六万円、原告斎吉金七万円、原告仁子金二万円とするのが相当であると認められる。

五  結論

よつて、被告山田、同彦素は各自原告会社に対し金六六万七一七〇円およびこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和四七年一月一三日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金、原告斎吉に対し金七九万二〇七八円およびこれに対する前同日から支払ずみまで前同割合による遅延損害金、原告仁子に対し金二四万七一二〇円およびこれに対する前同日から支払ずみまで前同割合による遅延損害金をそれぞれ支払う義務があり、原告らの本訴請求は右の限度で正当であるからこれを認容し、同被告らに対するその余の請求、被告小東に対する請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 蒲原範明)

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